淮揚料理(淮扬菜)は、中国四大料理のひとつ。長江下流と大運河ぞいの揚州・淮安・鎮江を中心に発展した、繊細で上品な料理です。卓越した包丁さばき、素材の鮮度、淡く澄んだ味わい、ほのかな甘みが身上で、しばしば「文人の料理」とも称されます。新中国の建国を祝う最初の宴(開国第一宴)も、この淮揚料理でした。
何を頼む
- 獅子頭(狮子头) — 大きな豚肉団子をやわらかく煮込んだ一品。秋にはカニみそを合わせた蟹粉獅子頭が絶品。
- 大煮干絲(大煮干丝) — 押し豆腐を髪のように細く切り、濃いめのスープで煮込んだ、包丁さばきの代表作。
- 文思豆腐(文思豆腐) — 絹ごし豆腐を糸のように刻んで澄んだスープに浮かべる、淮揚の包丁芸の極み。
- 揚州チャーハン(扬州炒饭) — 本場の、具だくさんで上品なチャーハン。
- 蟹粉湯包(蟹黄汤包) — カニみそたっぷりのスープ入り蒸し餃子(鎮江・靖江の名物)。
- 軟兜長魚(软兜长鱼) — タレでとろりと仕上げた田うなぎ。淮安の看板料理。
- 塩水鵝(盐水鹅/揚州老鵝) — 塩ゆでしたガチョウ。揚州の定番。
揚州の朝のお茶(早茶)
淮揚の食文化に欠かせないのが、揚州の朝のお茶(早茶)。お茶を飲みながら点心や蒸し菓子をゆっくり味わう習慣で、千層油糕や翡翠焼売、各種の蒸し餃子が並びます。富春茶社や冶春茶社といった老舗が名高く、朝の揚州を体験するならぜひ。
特徴
淮揚料理の真髄は包丁さばきと、淡く澄んだ味付け。辛さや濃い味で押すのではなく、丁寧な下ごしらえと繊細な火加減で素材本来のうまみを引き出します。見た目も美しく、宴席料理として磨かれてきました。
どこで食べる
本場は江蘇省の揚州・淮安・鎮江 — 大運河ぞいの古都を巡りながら味わうのが理想です。本場以外でも、北京・上海・南京などに優れた淮揚料理店があります。
有名な名店(行く前に営業時間・店舗の確認を):
- 北京 — 淮扬府(ホワイヤンフー):淮揚料理として初めてミシュランの星を獲得した名店で、北京ミシュランで唯一の淮揚料理店。ミシュラン一つ星と黒珍珠の常連。
- 北京 — 钟餐厅(ヂョン):北京ミシュランのビブグルマンに選ばれた、手頃で実力派の淮揚料理店。
- 無錫/南京 — 江南灶:無錫発の精緻な淮揚料理の名店。南京の「江南灶·云府」はミシュラン一つ星。
- 上海 — 扬州饭店(ヤンヂョウ・ファンディエン):南京東路の老舗(老字号)。気軽に本場の淮揚料理を味わえる、上海の名店。
- 三月醉淮扬(サンユエ・ズイ・ホワイヤン):評判の高い淮揚料理店。
淮揚料理の名匠・周暁燕(チョウ・シャオイエン)
現代の淮揚料理を語るうえで欠かせないのが、周暁燕(周晓燕、チョウ・シャオイエン)氏。揚州大学旅游烹飪学院の院長・教授であり、淮揚料理の国家級調理大師にして、非物質文化遺産「揚州三把刀・調理技芸」の伝承者です。世界中から料理人が学びに集まり、「淮揚料理の教父(ゴッドファーザー)」とも呼ばれます。とりわけ、絹ごし豆腐を髪のように刻む文思豆腐の包丁さばきの実演で名高く、黒珍珠ガイドの理事として評価基準づくりにも携わってきました。
その周氏が手がける(監修する)店:
- マカオ — 淮扬晓宴(ホワイヤン・シャオイエン):周氏が主理する、揚州出身者が手がける唯一のミシュラン二つ星淮揚料理店(マカオ・ロンドナー内)。
- 上海 — 天之锦(ティエンジージン):上海タワー(上海中心)のJホテルにある超高層レストラン。周氏が料理顧問として淮揚メニューを監修。
- 揚州 — 趣園(チューユエン):揚州の名高い淮揚料理店。淮扬晓宴との連名店はミシュラン一つ星を獲得。